『こちらこそ、ごめんなさい。風邪ひいたみたいで、熱が出ちゃって』

 謝罪と風邪の現状報告だけ。そしてすぐ返信が来た。

『俺のせいだね。ごめん』

 そんなに謝らないでよ……。悲しそうな顔が思い出されて辛くなり、下唇を噛む。

『もう大丈夫です。明日は学校に行くよ』

 絶対行くから。安心して欲しくてそう返信した。微熱だしあとは気合いで治す。

『明日、放課後ちょっと会えない?』

「ごっ!!」

 想定外の返信に、変な声が出た。

『いいの?』

『いいのって、なにが?』

 さっきまでどん底に落ち込んでいたところを、首根っこ掴まれて無理矢理浮上させられた気がする。気が動転しているし、なに意味不明なことを返しているのだろう。落ち着け。吸って吐いて、吸って吐いて。

『なんでもないです。放課後、空いてます』

 やっとのことでそれだけ返信すると、和泉くんから親指を立てたマークが送られてきた。
 これでもう今日は眠れないだろう。意地でも微熱を下げないといけないのに。

 本当に、和泉くんは心を掻き乱されてしまう。タロちゃんから聞かされるだけのときとはやっぱり違う。少しの言動、名前を呼ぶ声、メッセージのやり取り。少し前までは考えられなかった。

 嬉しい、怖い。でも、嬉しい。これ以上近付いて、怪我をするかもしれないけれど、止められないんだなと自覚した。

 和泉くんに、会いたかった。