パッ、と凝らして見た目でさっきの男を探せば、居なかった。


どこ行った?あいつ。

「気を付けろ、あいつがいねー」


俺は、咲を抱き締めた。


冬は、女を抱き締めた。


互いに大切なモノを抱き締めた。


たとえ、どんな奴が現れても
絶対に離さない、と願おう。


「キャハハハハ!!!!
逃がす訳ねーだろうが、逃がしてもいいけど姫だけは置いて行けよ‼」


ぎゅっ、と咲を抱き締める腕に力がこもる。