千が、教室を出ていけば、静かな教室が賑やかになる。

「星、千をなんで行かせた?
お前、気づかねーの?」


何が…………?


冬の言ってることが分からない。

しばらく何も言わない俺に、冬は追い討ちをかけるように言った。








「千の好きな人は、咲ちゃんだよ」










はあ?





咲ーーーーー?




「千は、ずっとお前らが付き合う前から、咲ちゃんが好きだったんだ。

忘れようとしてた。

なのに、なんで今になって!!」


苦痛に顔を歪ませた冬に、胸が締め付けられる様に痛い。

でも、きっともっと痛いのは千かも、知れない。


千は、もっと痛かった筈。