「千、とりあえずその好きな人に告白したら?」


チラリ、と真顔な千が振り向いた。
 なんの感情もない、千の瞳。


「なんで…………?」


なんでって………



悔しいじゃんか。


「悔しいだろう。
言って奪うぐらいの勢いで、行けよ‼」


俺は何も分かってなかった。


「ああ、じゃあ今から行ってくるわ「千、まじで行くのか?」

「冬…………。ああ、だって奪う勢いで、行けよって言われたし、"奪ってくるわ"ーー」


「…………………」

 なんだ?


冬のこの間。


俺だけしか知らないみたいな。


異様なまでの威圧感に、クラス中が静まった。