いつも、隣にいた温もりが戻ってきた。

それだけで、嬉しい。

「じゃあ、寝ようか。

おやすみ咲」


「あ……お兄ちゃん。

もう一緒には寝れないの?」


当たり前なこと。

「もう、無理だよ。

一緒にいたら止まらなくなりそうだ」

もう無理だよ。

当たり前なことが、当たり前じゃ無くなる。
それは、仕方ないこと。


「うん、おやすみ。

お兄ちゃん」


悲しそうに見る咲は、リビングを出ていく。


「ごめんなーー、咲」






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私は、リビングを出て直ぐの廊下にいた。


足を止めてしまった。


ごめんなーー咲。


君が、呟いた声が私の耳の奥底を、刺激した。


お兄ちゃんと、一緒に住める様になったのに。

一緒に寝れなくて寂しいなんて、ワガママだ。

私は、泣きたいのを堪えて部屋に戻った。