「俺が黙ってて欲しい、言った。

他人って知って、咲と永遠にサヨナラなんてしたくなかった。

だけど、もう……限界だ。」


クシャリ、と髪を掴んだお兄ちゃんは、なんだか泣いてた様だった。


「ずっと、好きだった。

妹を好きになるなんて、可笑しいと何度も思った。

だけど………母さんが教えてくれたよ。

両親が死んで初めて咲が、妹じゃないのを知った。

モヤモヤした変な気持ちも、他人だから惹かれたんだ。

咲ーー、俺は咲が好きだ。

一生に一度の恋なんだ。
お前しか、好きになれない。

愛してるよ、咲………」


不意に顔をあげたお兄ちゃんが、満面の笑みで言う姿に、私は、目を奪われた。


お兄ちゃんが、初めてーー男の人に見えたんだ。