「彼女、逃がしてあげる。

だけど、五分だけ時間あげるから逃げていいよ。

俺達、捕まえるから。
捕まえたら、わかるよな?」


ビクッ。


咲の肩が、上がる。

不意に顔を上げた咲の瞳が、揺れてる。


「…………っ、ふざけんな!!

何がしたいんだよ、お前は!!」


怒りが、頂点に達していた。

そんな俺に、刻は下卑た笑いを溢した。


「だってさあ、俺その子欲しいから。
だからって、爽がすんなりくれる訳ない。

だからさあ、ゲーム考えた。

鬼ゴッコ。

鬼はコイツらと、俺。

捕まったら、俺のにする」


ニヤ、と笑う刻をこの時、憎いと思った。


「咲は、モノじゃない!!」


俺の悲痛な声は、闇に消された。


ーーーードカッ!!


「爽くん!!」


俺と咲は引き離された。


刻が、俺の体を足で押さえつけた。

「やっ、爽くんっ。離してっ!!」


泣かないで………咲。



「爽くんを離して‼」



ちゃんと守れなくてごめん。


「…………ごめんな、咲。


逃げろ…………。



絶対に、捕まるな。


"ーーーーーーーー"だよ」


君にしか聞こえないように、囁いた。


君の瞳が更に、揺らぐのを見た。

ごめん、泣かせてごめんーー。

君の涙、拭えなくてごめん。


「ゲームスタート!!」


突然、開始されたゲーム。

「咲!!!


逃げろ!!!!」



どうか、捕まらないで………。


咲が、俺を見た。
君の瞳が、ゆらゆら揺れてる。


咲…………愛してる。