「咲も、ごめんな。

咲の大切な人疑ってどうかしてた。

だから、嫌わないでくれ」


お前に、嫌われたら生きていけない。

「嫌う訳ないよ。
だって…………お兄ちゃんなんだから」

ズキン。


お兄ちゃん?


だよな。


分かってるーー。


俺は、兄貴だ。

「ああ、俺は一生お前の兄貴だ」


思ってもないことが、口から漏れた。


好きなのに、兄貴にしかなれない。


俺は、穏やかな笑みを咲に見せた。


これが俺にできる最大限の、優しさだ。