「……だったら、なんです? 辞めろって言うことではないようですが」


「わかっていらっしゃるんでしょう? わたしの言いたいこととか、なんて」


「知りませんよ。俺は弟じゃないですから」
 

弟? 流夜の弟……なんだかすごく冷酷そうな気がした。


「じゃあ、弥栄先生もいるのではっきり言っておきますね? 咲桜ちゃんをあなたの側に巻き込まないでください。あなた方の側に、連れて行くんじゃありません。在義兄さんの方針は関係ありません。わたしの意思で、そうお願いします」


「……朝間先生の方針はわかりました。でもそれ、言い方脅しですから」


「そう聞こえました?」


「それ以外聞こえませんでした。それに、」
 

流夜は冷えた眼差しで振り返った。


「俺もそのつもりです」
 

そのまま静かに扉を閉めて出て行ってしまった。


「……『咲桜ちゃんが可愛い』以外で、初めて意見が合いました」