朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】



「咲桜ちゃん。流夜には主咲と逢ったこと、言わない方がいい」


「え……なんでですか?」


「流夜は主咲が苦手だから」
 

みたいですね。
 

降渡さんも苦手なようだし。


……吹雪さんの言う通り、言わないでおこうか。


訊かれたら答えるけど……あえて触れたくはない気がする。


「ふゆ――
「笑満ちゃん」
 

言い差した笑満を遮って、吹雪さんが口元に指を立てた。


「咲桜ちゃんが主咲のことを知れたのは、流夜との間に未来をかけているからなんだ。笑満ちゃんも、遙音と結婚とかしたら、知っていい話なんだ」


「え―――」
 

ボンっと、笑満が顔を真赤にさせた。吹雪さんは微笑んでいる。


「け、けけけ」


「だからその人のことは今はまだ内緒。いいかな?」
 

笑満は紅い顔のままでこくりこくり肯いた。


吹雪さんのやり口にはまっている。
 

視線だけで私を見てきた吹雪さんの瞳は、何かを案じている風だった。
 

カランと、軽い音が鳴った。二人分の足音が聞こえた。