朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】



……私のために、無理をさせてしまっているのかもしれない。


「咲桜?」
 

笑満に下から顔を覗き込まれて、はっと意識を取り戻した。


「どうしたの? 蒼い顔してる……調子悪かったら帰った方がいいんじゃ……」
 

指摘されて、右手の甲を頬に押し当てた。隠すように。


「あ、ううん。ちょっと考えごとしてただけだから。大丈夫」


「ほんと? ……あ、さっきの着物の人? あたし気が廻らなかったけど、咲桜の知り合い?」
 

まだ、笑満の両親は来ていないようだ。


フロアには流夜くんと降渡さんと遙音先輩。


吹雪さんは私たちと休憩室の入り口辺りにいて、頼は開いた扉に隠れるようにフロアを窺っている。


笑満と私も声が聞こえるようにとその近くにいる。


椅子に座っているような心の余裕はない。


「あ、えっと……」
 

司國陽。斎月の恋人。