「――ご両親に、俺らがお膳立てはするし出来る。やるべき立場を俺たちは選んだ。でも、最後を詰めるのはこいつなわけ。りゅうの考えがわからない咲桜ちゃんじゃないよね?」
いつもと変わらない笑みを浮かべているのに、瞳の光が全然違う。
薄い闇を張り巡らしている中に立たされている気分になる。
違う、薄い闇がめぐっているのだと、その光で気付かされた。
――三人に感じていた、隔絶(かくぜつ)の見えない壁の向こうに、刹那振り向いた降渡の微笑が見えた気がした。
しかし次の瞬間には、いつもの『降渡さんの表情』で先輩の頭に手を置いた。
「遙音。お前も彼女の親友にかばわれてどうすんの。強い子はどうしたって誰だって護っちゃう思考になるんだから、お前がしっかりしていないと」
強い子。……それが差すのは私か。憮然と口を結んだ。
しょうがないじゃん。護りたいんだから。護りたいから力を手に出来るよう生きて来た。
降渡さんはぽんぽんぽんと先輩の頭を叩く。
「特にねー咲桜ちゃんはねー。啖呵切るタイミングといい台詞といい、在義さんそっくり。でも、」
と、降渡さんは少し間を置いた。



