朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】



からかわれても、先輩は反論も出来なかった。


斜め下に見える拳が震えている。


……笑満に逢えるとは、考えていなかったのかもしれない。すきだった子に、もう逢えない。逢うことはない。


――それを呑み込んで、三人に続くことを決めたのだろう。


でなければ反対された時点で笑満を切って捨てているはずだ。
 

迷っている。……選べないでいる。


笑満と、自分の見ていた未来(さき)とを?


「遙音はそんなすきなんだねー。笑満ちゃんのご両親―」


「……………」
 

遙音先輩のカオに、悔しそうな力がこもった。


「ははっ」
 

蒼い顔をする先輩を見て、降渡さんは愉快そうに先輩の頭に手を置いた。


それを聞いて私、ぷちーんときた。


「――降渡さん。そこまで笑われるいわれは遙音先輩にはない」