朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】




「あはは。そっかそっか。咲桜ちゃんに笑満ちゃんは撒けないよなあ」


「すみませんでした。せっかく考えてくれたのに」
 

腰から折って頭を下げる。


頼はいつものぼーっとしたカオになっていた。


笑満は私の行動の意味がわかりかけているようで黙り込んでいる。


そして途中で捕まえることに成功した当事者は―――


「いいよ、気にしないで。俺らも大体行き当たりばったりでやってきたから」


《白》のカウンターの中でからりと笑うのは、タブリエ姿の降渡さんだった。


今までも龍生さんのお手伝いとか言ってカウンターの中にいるのを見たことはあるけど、軽く腕をまくってジャケットを脱いでいるくらいだったのに、今日の降渡さんは一言『店員さん』だった。
 

笑満と頼を連れてやってくると、遙音先輩が入り口をうろついていた。


危ない人か。


「入りますよ。先輩」私が言うと、びくりと肩を跳ねさせた。


降渡さんと連絡を取って拾ってくるように指示されたのは、遙音先輩だった。


唇を引き結んで出会い頭に、「笑満ちゃん……」と一言呟いて以来口を開いていない。