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「あはは。そっかそっか。咲桜ちゃんに笑満ちゃんは撒けないよなあ」
「すみませんでした。せっかく考えてくれたのに」
腰から折って頭を下げる。
頼はいつものぼーっとしたカオになっていた。
笑満は私の行動の意味がわかりかけているようで黙り込んでいる。
そして途中で捕まえることに成功した当事者は―――
「いいよ、気にしないで。俺らも大体行き当たりばったりでやってきたから」
《白》のカウンターの中でからりと笑うのは、タブリエ姿の降渡さんだった。
今までも龍生さんのお手伝いとか言ってカウンターの中にいるのを見たことはあるけど、軽く腕をまくってジャケットを脱いでいるくらいだったのに、今日の降渡さんは一言『店員さん』だった。
笑満と頼を連れてやってくると、遙音先輩が入り口をうろついていた。
危ない人か。
「入りますよ。先輩」私が言うと、びくりと肩を跳ねさせた。
降渡さんと連絡を取って拾ってくるように指示されたのは、遙音先輩だった。
唇を引き結んで出会い頭に、「笑満ちゃん……」と一言呟いて以来口を開いていない。



