朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】



私が関わることは、流夜くんはどこまで拒絶する。


事件のことなんてちらとも話してくれない。


相談相手になる知識も器量もないとわかっているけど、一般的な意見の一つも求められたことはない。


手を跳ねのけられることのない、初めから背中を向けた拒絶。


その世界を見せてもくれない。


……降渡さんと吹雪さんと、弟と呼ぶ子だけ、隣をゆるして。


「それとね、笑満」
 

笑満が摑んでいた手をそっと解いて、両の手先だけそっと握った。


「笑満の所為で大変な目にあうとか、傷付くとか、それでいいんだよ」


「だ、――だめだよ! そんな迷惑かけちゃ」


「そりゃあ、無際限とは私も言わない。でも、私や遙音先輩や、ついでに頼とか、笑満のことすきな人はね、笑満が傷ついてれば自分が傷つくことも出来るの。……他人のために心痛めるってね、誰に対しても出来るものじゃない。ほんとーに大事な人にしかゆるさない領域だ。――だから、安心していなさい」
 

今なら言える、弱さを肯定する言葉。笑満は唇を噛んだ。


「……予定変更かな。約束違反だけど、見守りに行く?」


「「……え?」」
 

私の言葉に、笑満と頼はそろって瞬いた。