珍しく聞く大きな頼の声に振り返った。
笑満を少し離れたその場に置いて、一人で歩いてくる。なんでいる?
「頼? 笑満も――
「帰るよ、咲桜。急いでんだろ」
怒った口調の頼が、私の腕を摑んだ。
「えっと――で、では」
「ええ、また」
司くんは最後まで悠然としていたのに対して、何故か頼が焦ったような顔をしている。
初めて見る顔だ。
司くんから離れて、まだ笑満の許までは着かない間に、頼が鋭い瞳を見せた。
「咲桜、あれが誰だか知らないし興味ないけど、近づかない方がいい」
「え? どうしたの」
「あれは普通じゃない。支配階級の生き物だ。俺たちとは、世界が重ならない人種」
「………えーと……」
困った。なんだその中世の仕組みみたいな言いようは。



