「流夜くん、たくさん頑張ったんだね。……これからは、私がいるからね?」
 

ずっとずっと、傍にいるからね?
 

――あなたがゆるしてくれるなら。
 

流夜くんが小さく唇を噛むのがわかった。


私の血縁のこと、わだかまりはない。わだかまってはいない。


二年前、離れる前に総て溶けてしまった。


だからこうして、寄り添える。寄り添っていることを、幸せだと感じられる。


お互いに。


「ありがとう、咲桜」
 

もう、神宮家事件の当事者は流夜くんだけだ。


私は、県警本部長の一人娘で、流夜くんの――


「事件が動くことで、俺にも影響があることは確かだ」


「うん」


「咲桜にも、とばっちりはいくかもしれない」


「うん」


「でも、悪いけど――少しの間だけ、がんばってほしい」


「うん」