数年ぶりに見るその姿に、呆然と突っ立った笑満を、しょうがないとばかりに迎えに来た遙音先輩とすれ違う。


私はその人の目前で止まり、右手を伸ばした。
 

頬。
 

消えない。触れた。


「――なんでいるの!」
 

怒鳴られても、流夜くんは動じなかった。
 

微苦笑を浮かべる。


「ただいま」


「おかえり! 来るなら言ってよ! 私もう、流夜くんが日本にいようが斎月みたいに外国行っちゃおうが追ってく覚悟で桜台に入るんだったんだからね⁉ 事務所に居つきませんって絆先輩も涼花さんも言いくるめるの大変だったんだから!」


「ごめん。少し驚かせようかと思ったんだけど……過ぎたな」