「ふゆは斎月に妬いてるんだ。一緒に育った俺らより、斎月の方がりゅうに近いって言われてるから。俺も複雑ではあるけどね。斎月はりゅうが、初めて家族の呼称で呼んだ人間でもあるから」
「ああ、なるほど……」
「咲桜ちゃんは? 斎月のこと、嫌じゃないの?」
「何と言うか……斎月はすごすぎて嫉妬の対象から外れてしまいました。流夜くんとも兄弟認識だとはわかったので、女の子として意識するのも無意味だなあ、と」
「賢明だね。ふゆもそんくらいに考えてくれたらいいんだけど……」
「降渡さん、大変ですね。……あ、すみません」
この件に関しては完璧に抑え役でしかない降渡さんに同情していると、スマートフォンがメッセージの着信を告げた。
開いてみると斎月からだった。
『たぶんもうすぐ琉奏さんがそっち行きます。頑張ってください!』
「え……」



