「いえ――すみません、でした。ごめん、二人も」


「いや、俺らが飛び出しただけだし。笑満ちゃん、咲桜にブレザー貸してあげてもらえる?」


「あ、うんっ」
 

傍にいた笑満ちゃんは硬直が融けたように駆け寄り、自分のブレザーを咲桜の肩にかけた。


咲桜は「濡れちゃうから」と拒んだが、笑満ちゃんは受けない。


「さ、行きましょう。三人とも。ここの片付けぐらいは頼んでもいいかしら?」
 

バケツぶちまけた生徒たちに朝間先生が問いかける。


少し慌てた肯きが返ってきた。


「では、よろしくね。はーい、みんな、もう放課後ですよ。早く部活や帰宅、しなさいね」