「つけててくれたんだな」
 

カーッと頬が熱くなる。――ったのも束の間、腕をいっぱい伸ばして流夜くんから距離を取った。


突然の拒絶に、流夜くん半瞬固まった。


「……咲桜?」


「ごめんなさいっ、あの、なんてゆうか、笑満が辛いときに私だけ嬉しいのは、なんか……苦しくて……それこそこちらの話なんだけど……」
 

上手く伝えられる言葉が見つからない。俯いていると、頭に大きな手が降りた。


「大丈夫。だって言ってんだろ」
 

少し楽しそうな流夜くんの顔。一度だけ、その笑みを閉じ込めた。


「……よろしくお願いします」
 

うん、と流夜くんから返事があった。
 

……自分に出来ることは、頼ることだけなのだろうか。


頼は流夜くんを頼る時だと教えてくれて、流夜くんもそれを是とした。
 

………本当に? 本当に、これしかないのかな……。