「………」


「今、この状況で、咲桜ちゃんを大丈夫に出来るのは誰だって聞いてんだよ」


「……………さお……」


「お前は、咲桜ちゃんの何なの」


「………」


「僕は、衛の言葉がすきだよ。『真実を歪めるだけだ』。十三らしいよ。十三は、――生きにくい命の十三はそうやって生きて来た。その生き方を、僕は否定しない。どんな過去があろうが今だろうが、清濁(せいだく)併せ呑んで生きていいと思ってるよ」
 

……清いも、濁りも。
 

そっと、瞼をおろした。


「……………。ああ、そうだな。あいつらは清々しいほど濁った生き方をしていたな」


「僕の中で、咲桜ちゃんにはお前の恋人って立場しか与えていないよ」
 

俺はやっと、眩しい灯りの中で目を開くことが出来た。


「ああ。――そのままで、いい」