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誰かに抱きしめられている。それだけはわかった。
 

いるのは自分の部屋だ。それもわかった。
 

頭が動かない。現実を――生きることを拒否している。


このまま……心臓なんか、止まってしまえば。


こんな、血を動かしている心臓なんて。


「咲桜ちゃん……」


「さお……」
 

耳に馴染んだ声。
 

今は、遠い。