+++ 誰かに抱きしめられている。それだけはわかった。 いるのは自分の部屋だ。それもわかった。 頭が動かない。現実を――生きることを拒否している。 このまま……心臓なんか、止まってしまえば。 こんな、血を動かしている心臓なんて。 「咲桜ちゃん……」 「さお……」 耳に馴染んだ声。 今は、遠い。