「……流夜くん」


「お願いします。咲桜を俺にください。咲桜以外には何も望みません。いりません。……咲桜だけ、いてくれればいいんです。お願いします」


「……流夜くん、私は、それには肯けないよ」


「――在義さん!」


「咲桜が……娘が望まなければ、君のところへはやれない。背中を押してやれないよ。流夜くん、今の咲桜が、見えているか?」


「………っ」
 

父さんが、流夜くんの腕の中から、私の肩を引く。


「せめて……少し、待ってもらえないか。咲桜の……意識がはっきりするくらい、までは……」