「いじけ顔ねー、咲桜」
 


今日も寝ている頼の机に集まっている私たちは、昨日素顔をあらわにされた流夜くんの話に花を咲かすクラスメイトを眺めながらひそひそ会話する。


「だって……やっぱり素顔見せたら、すきになっちゃう人いるじゃん……」
 

私は不機嫌が隠せない。


昨日家に帰ってから、流夜くんから連絡があった。


しばらくは用心のためにアパートの方へ帰ると言うことだった。


私は大丈夫だと食い下がったけど、今回は大丈夫じゃないと押し切られてしまった。


「まー、咲桜は冷たい流夜くんも優しい流夜くんも独り占め出来るんだから。あの子たちだってずっとは騒いでないよ。一過性のもの。落ち着いたらまた二人っきりになれるって」


「………」
 

それでも、在義父さんの公認の仲だったから今まで簡単に逢えていた分、逢えないことの辛さを実感する。


「んー、でもこれは廃部にしといた方がいいなー」
 

と、それまで突っ伏していた頼が顔をあげた。