……なんでだろう。なんでこんなに、真っ直ぐに言葉してくれんだろう。なんでこんなに、愛してくれるんだろう。なんでこんなに、……―――愛することが、できるん、だ、ろう……。


「か、母さん!」
 

私も、母の影を見つめて叫んだ。


「私の、大すきな人なの。ずっと、一緒にいたい人なの。お願いします。付き合ってること、け……結婚すること、認めてください。お願いします」
 

勢いよく頭を下げる。


答えが返ってくることがないとわかっていても、そうせずにはいられなかった。


「……咲桜」
 

隣から降る柔らかい声に、泣きかけの顔をあげた。


「うん。ありがとう」


「あ、こちらこそ」
 

また、手が繋がれた。


そのまま、桃子母さんの横たわる石の室を見る。