桃子母さんが眠るのは華取家の墓だ。
 

この前、在義父さんのいる『華取家』は傍系だと知ったけど、在義父さんは桃子母さんを代々の墓に横たえさせた。


自分の妻として。
 

寺の裏山に段々に作られた墓の一つ。


流夜くんと、その前に立った。


「はじめまして。桃子さん」
 

繋いでいた手を解いて、流夜くんは語りかけた。


私は手を組んで、静かに聞いている。


「在義さんには認めてもらっていますが、咲桜さんと結婚前提で付き合っています」


「………」
 

う。こう、静かな雰囲気で聞くとこっぱずかしい……。


「咲桜のこと愛してるので、心配なさらずに俺にください」


「! ど、どういう言い方⁉ それって一般的なの⁉」
 

淀みないいきなりの挨拶にびっくりした。


色々すっ飛ばしていないだろうか。