ベン、と名乗ったその人は、ここ、いい? と言いながらテーブルをはさんで椅子に座ると、私の目をじっと見て笑顔でこう続けた。 前髪からのぞく、大きくて髪と同じ栗色の瞳に、吸い込まれそうでクラクラする。 「アリスはさ、なんでKUISに来たの? 留学? 俺はさ、ぶっちゃけこの名前がやっぱどっかで嫌でね、Ben、になりたくて来たんだよね。だからちゃんとした目標とかなくてさ」 「あ! 私もです! 私も自分の――」