事務所に戻ると加賀さんに「行くぞ」と声をかけられた。
「え、どこへですか?
今日は一日、事務所だって……。」
「説明は後で。とにかく行くぞ。」
着いたのは病院だった。
病院に営業とは考えにくい。
誰かのお見舞いに来たみたいだ。
途中で女性誌を何冊か買ったところから相手は女性だろう。
何より、ここは産婦人科。
まさか……妊娠させた女の人へのお見舞いに付き合わされるの?
不安げに加賀さんを見つめてみても、なんだか様子がおかしくて余計に不安になる。
目を合わせてくれない。
車に乗り込む前からずっと。
運転中だから?
私が余計なことを考え過ぎているせい?
説明は後、の説明もなければ、何も話さない加賀さんに不安を募らせた。
駐車場に車を止めた加賀さんはため息を吐いて、やっと口を開いた。
「酒井様の奥様が妊娠された。」
「え……そうなんですか?
それはおめでたい……んですよね?」
「あぁ。妊娠自体はな。
ただ、体調を崩されて入院している。
無理を言って見舞いさせてもらうことになった。」
淡々と話す加賀さんがどこかおかしくて、けれどこちらを見てくれない加賀さんに何も言えなかった。
「え、どこへですか?
今日は一日、事務所だって……。」
「説明は後で。とにかく行くぞ。」
着いたのは病院だった。
病院に営業とは考えにくい。
誰かのお見舞いに来たみたいだ。
途中で女性誌を何冊か買ったところから相手は女性だろう。
何より、ここは産婦人科。
まさか……妊娠させた女の人へのお見舞いに付き合わされるの?
不安げに加賀さんを見つめてみても、なんだか様子がおかしくて余計に不安になる。
目を合わせてくれない。
車に乗り込む前からずっと。
運転中だから?
私が余計なことを考え過ぎているせい?
説明は後、の説明もなければ、何も話さない加賀さんに不安を募らせた。
駐車場に車を止めた加賀さんはため息を吐いて、やっと口を開いた。
「酒井様の奥様が妊娠された。」
「え……そうなんですか?
それはおめでたい……んですよね?」
「あぁ。妊娠自体はな。
ただ、体調を崩されて入院している。
無理を言って見舞いさせてもらうことになった。」
淡々と話す加賀さんがどこかおかしくて、けれどこちらを見てくれない加賀さんに何も言えなかった。