放送委員のアナウンスがなる。









“続いて、最後の競技、1年生による、1000mメドレーリレーです。出場者は、入場門の前に整列してください”









「樋口くん行こ!」




「あぁ」




入場して、スタートの合図とともにみんなが走り始める。




私は3番目。まずは、「きいろ頑張れー!」と応援する。




最後の競技でもあるので、みんな必死になって応援していた。




もちろん、黄色団も声を合わせて応援しているのが見えた。




赤組と同点の黄色団、これで勝てなきゃ2位になってしまう。




「よしっ、バトン渡った!」




1人目から、2人目に渡るのは順調だ。




「次私だ……!!」




私も位置につく。左手を後ろに差し出しながら待つ。




私に渡す子が近づいて来たので、少しづつゆっくり走り出す。




「はい!!」とバトンを渡されて私は走り出す。




力の出せる限り前に体重を倒して、思いっきり走り始めた。




けれど……少しバランスを崩してしまった。




自分の足に引っ掛けて、転んでしまうのだ。





「いった、……っ!」でもすぐに起き上がってから、また走り出した。





せっかく私の前に走った子2人が他のクラスと差を広げてたのに、私のせいで負けたくない。そう思った。





頑張って頑張って、走って「はいっ、樋口くん!」と言って、バトンを渡した。





トラックの内側に寄って、私は座り込んで樋口くんの走っているのを見た。




だって、樋口くんが1位必ず取るから、見ててくれって約束したから。




まばたきする事も忘れて、樋口くんを目で追う。





「…すごい……めちゃくちゃ早い…っ…」私は小声でつぶやいた。





私が転んだことで1人抜かされて、他のクラスとの差も縮まっていたけれど、また抜かし返して、樋口くんがその差をどんどん離していった。





私のクラスだけじゃなくて、黄色団全員から応援が樋口くんに集中する。





「樋口くん頑張って!!」と私も座りながらだけど、声を出して応援した。





そのままぶっちぎりの1位でゴールした。





「良かった……!」




と私は、ひと安心した。




黄色団はこれで1位だ。