部長は、小さな定食屋に入った。

「意外です。
部長は、もっとお洒落なお店にしか行かないと
思ってました。」

「くくっ
それは、この店に失礼だぞ。」

「いえ、私はこういうお店、好きですよ。」

「何、食べる?」

「んー、じゃあ、生姜焼き定食を。」

「すみません。
生姜焼き定食1つと鯖の味噌煮定食を1つ。」

部長がオーダーしてくれる。

「営業は、昼に絶対にんにく臭くなったり
できないんだ。
だから、中華やイタリアンは避ける。
そうすると、定食屋や蕎麦屋が1番安くて
無難な選択になるんだ。」

「勉強になります。」

「瀬名は、さっき佐藤部長がいらっしゃった
時、俺より先に立っただろ?
よくできたな?
たいていの新人はあそこでお説教なんだが…」

「一応、秘書検定の勉強をした時に習った
ので。
常識的な挨拶や立ち居振る舞いは覚えている
つもりです。」