見たくないはずなのに、ゆっくりと振り返る。


そこには対峙する颯樹と亮太がいた。


颯樹と博の主従関係の時間は終わっているのに、颯樹は次の対戦相手として亮太を選んだのだ。


「亮太もアプリをダウンロードしてたの?」


カリンがそう聞くものの、亮太は唇を引き結んだまま颯樹を睨み付けている。


「俺がさっ亮太にアプリ紹介したんだ」


颯樹がそう言った。


2人は普段からあまり仲がよくなくて、会話も少ない。


喧嘩をしているところはみたことがないけれど、颯樹があえて亮太を選んだことは明白だった。


この2人に主従関係が生まれたらどんなことになるか、不安が胸に膨らんでいく。


「颯樹はもうゲームする必要なんて、ないでしょ」


つい、そう声をかけていた。