幸い階段には誰もおらず、ホッと胸をなで下ろす。


他のクラスの生徒に聞かれていたら、お高くとまっていると思われてしまう。


あたしとしては全然そんなつもりはなく、本当に、単純に時間があることが羨ましいと感じてしまう。


そのくらい、A組では毎日ピリピリと張りつめた空気が漂っているのだ。


それこそ、呼吸が苦しくなってしまうほどに。


「おはよう」


3年組の教室を開けてそう声をかける。


先に登校して来ていた生徒たちが一旦こちらへ視線を向けるけれど、またすぐに視線を参考書へと戻してしまった。


いつものことだけど思わずため息を漏らしてしまう。