「うわぁ、ひどい顔」


鞄から手鏡を取り出して自分の顔に大きなため息を吐き出した。


颯樹の顔も目が腫れていてひどい有様だ。


「冷たいタオルを持ってくる」


颯樹はそう言って部屋を出て行った。


1人になった部屋の中であたしは本棚の本を眺めて行った。


どれもこれも、医学に関する本ばかりだ。


颯樹は医療の道へと進むのだろう。


学校の授業に加えてこれだけの本の知識を叩きこんでいるなんて、ストレスが溜まっても当然だと思えた。


「なに見てんだよ」


音もなく颯樹が部屋へと戻ってきて、あたしは驚いて本棚から身を引いた。