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ようやく家に戻った頃にはすっかり太陽が落ちていた。


真っ直ぐお風呂に向かい、シャワーを浴びる。


湯船にはつからず1時間ほど丹念に自分の体を洗った。


そうしている間にもツバサへの怒りは増して行く一方だった。


「死ね……死ね……」


口の中で小さく呟く。


そのリズムに合わせ、自分の肌に爪を立てた。


醜い体になれば男が欲情することもないだろう。


そんな異常な思考回路が働いていた。


ボディーソープの泡が傷口にしみて、あたしはようやく我に返った。


左腕にはミミズ腫れのような痕が何本も残り、血が滲んでいた。


慌てて水で泡を流し、脱衣所に出た。