拳を突き上げて喜びたい気分をグッと胸の奥へ押し込める。


「なんで!? 後出しで勝てるって書いてあったじゃん!」


紗菜は悲鳴に近い声を張り上げてスマホを見つめている。


その言葉にハッとして教室内を見回した。


紗菜が負けたことをみんなが驚いている様子だ。


もしかしてみんなはあたしとのゲームがフェアになった事を知らないままなのかもしれない。


あたしは自分のスマホに視線を落とした。


すでにゲームは終了している。


とことん性格の悪いゲームだ。


あたしはそう思い、泣き崩れる紗菜を見おろしたのだった。