美奈がゆっくりと顔をあげる。


その表情は奇妙な笑みを浮かべていた。


美奈の……クラス中からのどす黒い負の感情が押し寄せて来る気がして、あたしはドアに手をかける。


ここにいちゃいけないと本能的に感じていた。


けれど、一歩遅かったんだ。


ドアを開ける寸前のところであたしのスマホが震えた。


その震えに息を飲み動きを止める。


スマホが震えただけじゃ、なにが届いたのかはわからない。


単なるメールかもしれない。


ニュースが更新されただけかもしれない。


そう思う反面、あたしはもう気が付いていた。


これがあたし自身の《ゲーム》開始の合図であることを……。