「……どういう意味?」


「他のクラスの連中はどうか知らないけど、A組は全員ライバルだろ。相手を蹴落とすために必死なヤツだっている」


その言葉にあたしは言い返せなくなっていた。


確かに、《絶対命令アプリ》が来る前からそういうところはあった。


わざと間違えて勉強を教えたりして、相手を蹴落とそうとしていた生徒は少なくない。


「そういう相手を友達とは言わない」


颯樹がしっかりと言い切った瞬間、教室内の空気が変化した気がした。


今まで見ないフリ、気が付かないフリを決め込んできてものが露呈したようなうすら寒い空気が漂う。


一瞬にして、クラスメートのたちの顔が見知らぬ人の顔に見えて来た。


知らない人たちの中に自分がポツンと立っているように見えて、あたしは後ずさりをした。