龍使いの歌姫 ~幼龍の章~

そして、閉ざされた龍の谷の中で、彼女はティアと共に成長していく。

新しい環境で、龍達と心を通わし、龍達と共にいられる時間に幸せを感じていた。

その間に、外の世界がどうなっていくのかも知らず。

年月を重ねるごとに、国の穢れは広がっていく。そしてそれは、国が破滅することを意味する。

国が破滅するということは、神龍も破滅するということ。

ただ幸せに、普通の一人の人間として、幸せになってほしいと願ったレオンや、ティアナの言葉とは裏腹に、少女はいずれ、少女の意思関係なく、国の穢れに巻き込まれるだろう。

そして、大人と認められた彼女は、この国の真実に気付くだろう。

歪んだ心を持つ、次期龍王セレーナ。彼女に従順な竜騎士。

国を守護する神龍。

そのすべてに、いずれレインは関わることだろう。そして、その果てに待っているのは、希望だろうか?

それとも―。


~幼龍の章 完~