「何でため息吐いたの?」

「断るだけ無駄だと思っただけだ。お前は龍の爪にしがみついてでも追ってくる奴だからな。ちびの癖に、どこからあんな力が湧いたのか、今でも不思議だ」

「ちっ―!…………ちびじゃないもん」

他の言葉は、まぁ仕方ないと片付けたが「ちび」呼ばわりはカチンときた。

レインは元々背が小さい方で、三年たってもそこまで伸びていないので、割りと背の低さを気にしていた。

「私だってその気になれば………二、いや三十メートルは伸びるんだからね!今はまだ成長期なんだから!」

「巨人か」

アルの呆れたツッコミに、レインはうっと黙りこむ。

『キョジン!』

ティアは新しい言葉を覚えた。

「…………」

「…………」

何故か気まずい空気が流れ、レインとアルは口をつぐんだ。

「………行くぞ」

「………うん」

『ギョイ!』

二人と一匹は歩き出した。


獣道から、普通の道へと出ると、レイン達は真っ直ぐ歩いていく。

すると、段々登り坂になり、前の坂よりも急だ。

「ここから先は山に入る。山の頂上でゼイルが待っている筈だ。……因みに、ちょっとでも道から外れると、崖になっているからな、そいつはまだ飛べないだろうから、見ててやれ」

視線でティアを指すと、レインは頷いた。

「分かった。……私も気を付けないと」

「お前は大丈夫だろ。しぶとそうだし」

「確かに。丈夫さは私の取り柄だし!」

嫌味を言われたとは思ってないのか、自信満々に返され、逆にどうすればいいのか分からなかった。