「……もう、大丈夫だね。それにしても……また会うとは思わなかったな」

自分と同じ赤い髪を、レインはジッと観察していた。

(赤い髪は、忌み子の証。大罪人の生まれ変わり……か)

何故、赤の民の長は神龍を殺せたのだろう?そもそも、何故殺す必要があったのだろうか?

病にかかったなら、病気を治す方法を見付ければ良かったのではないかと、レインは思う。

(この子も、私と同じ存在なんだ)

自分と同じ。けれども、龍と共に生きている少年。

初めて会った時は色々ありすぎて、少年の名前も、何故龍に乗っていたのかも聞けなかったが。

少年は龍の谷から来た。

恐らく、龍の谷に住んでいるのだろう。

(……目が覚めたら、名前……教えてもらえるかな?)

正直、初対面の印象は良いと言えないので、レインとしては複雑だ。

だが、それでも少年を、レインは助けることを選んだ。

『レイン!』

「?」

ティアはレインの膝の上によじ登ると、頬をペロッと舐める。

「ふふっ!どうしたの?」

『遊ぶ!』

どうやら、レインが少年にばかり構うのが寂しくなったらしく、遊べと体全体で表現している。

レインは困ったように眉を下げて、ティアの頭を撫でた。

「ごめんね。まだこの子の容態が心配だから、もうちょっと診ておきたいんだ」

『………タロウ』

ティアは少年に向けていい放つ。

「タロウって名前じゃないと思うけどね」

苦笑いするレインに顔を戻してから、もう一度少年を見た。

『トロロ』

「………もしかしてだけど、悪口言ってるの?………いや、そんなわけないよね」

『ご飯!』

「………多分」

その後もティアは、眠っている少年に向かって、覚えたての言葉を言いまくっていた。

そのせいで、少年がうなされていたので、レインは仕方ないと少年を時々見ながら、ティアと遊んでいたのだった。