明け方。

レインはノノンを起こさないようにベットから出ると、リュックから薬草を取り出し煎じる。

煎じ方はレオンから教わったが、解熱薬と痛み止め、傷薬しか、材料の都合上作れない。

旅の薬売りから薬を買ってくれるかは分からないが、揃えられるだけ揃える。

太陽が昇りきる前に何とか作業を終え、透明な小瓶に詰める。

これで準備は出来た。後は、ノノンが起きる前に朝御飯の支度をしておこう。

昨日もこの家の材料を使わせてもらったし、今日は狩りをしてこようかと思う。

リュックに引っ掻けてある弓矢を取り、そっと小屋を出ようとした―が、何が足に絡み付いている。

レインはため息を吐いてから、自分の足に抱き付いているティアを見下ろす。

「おはようティア。……ちょっと狩りをしてくるから、ノノンとお留守番しててね」

『ピギィ!』

やだやだと言ったように首を振ると、レインは困ったように眉を下げる。

「大丈夫!すぐ戻ってくるから。ノノンのこと、見ててあげて?」

『ピギィ………』

諭すように優しく言い、しゃがんで頭を撫でる。

まだ小さい白い角をツンと突っつくと、くすぐったそうにごろりと転がった。

「ふふっ。じゃあ、行ってきます」

なるべく音をたてないように、小屋の扉を開けて閉める。

静かな村の中を、フードを深く被りながら、レインは森へ歩いて行った。