「ノノンね。よろしくね!」

ティアを探し回っていたレインは、目の前の少女に笑いかける。

ティアも警戒をしていないようだし、大丈夫だと思ったのだ。

「お姉さんは、忌み子?」

赤い髪が忌み子の証だと言うのは、この国の人間なら誰でも知っている。

だから、ノノンの言葉にレインは目を伏せた。

「……そう、呼ばれてる」

「どうして赤い髪は駄目なの?」

ノノンは不思議そうにレインを見る。

赤い髪の何が一体悪いのか、さっぱり分からない。父親は、赤い髪を持つ者は不幸を招くと言っていたが、レインの赤い髪を見ても、そんな風には思えない。

竜のことも同じだ。何故狂暴だとか近付くなと言われるのだろうか?

「……私のお師匠様がね、言ってた」

レインはティアを膝に乗せながら、その辺の平べったい石へと座る。

ノノンもレインの隣に座り、言葉の続きを待った。

「昔ね、まだ龍族がこの国を統治していた頃、人間はいなかった。正確には、ある二つの民しかいなかったんだって」

レインはレオンに、赤い髪がどうして不幸を招くのかと聞いた。

そしたら、レオンは話してくれた。

今ではもういなくなってしまった、二つの一族の話。龍族と生きていた民の話を。