一本に伸びてる道を歩いていれば、いずれは村につく。

だが、村までの正確な距離は分からない。

レインは薬草と山菜を採りながら、ティアと共に歩みを進めていく。

途中、またティアを抱っこしようとしたのだが、ティアは自分で歩きたいらしく、とことこと歩いていた。

だが、速度はレインより遅いので、ティアがレインの近くにくるまで、いちいち止まらなければいけないのが難点だ。

生まれて初めて見る世界がとても珍しいのか、ティアは時々道から外れて寄り道をする。そのため、レイン達の歩みは遅い。

だが、レインも一緒になって、ティアが見付けたものを眺めるため、遅くなる原因はレインにもあるだろう。

辺りが暗くなると野宿の準備をし、採った山菜を火で炙り、果物を摘まむ。

狩りはよっぽど食べるものが無い時以外は、なるべくしないようにしているため、今日はお肉はない。

『ピギィ?』

ナイフで切ったリンゴをティアへと差し出すと、ティアは首を傾げていた。

「食べる?」

歯は生えているので、多少の固いものならば食べれるだろうと思うのだが。

「ほら、美味しいよ!」

『ピギィ!』

更に小さくしてから差し出すと、ようやくティアは口を開けた。

「美味しい?」

『ピギィ!ピギィー』

気に入ったのか、レインの膝の上に飛び乗り、口をガバッと開けている。

「はいはい。すぐ切ってあげるから待っててね」

レインが切ったリンゴを、ティアは次々と平らげ、この調子ならばと他の果物も与えてみた。

そしたら、やはりペロリと食べてしまった。そして満足したのか、お腹を向けてレインの膝の上で寝始める。

レインはジッとティアを観察した。吐き出したりぐったりする様子は見られないことから、恐らく人間が食べるものは大体大丈夫だろう。

レオンから何も聞けない内に旅立ってしまったが、これなら何とか一人でもティアを育てていけそうだ。

(私も……もう寝なきゃ……)

木に背を預けながら、レインは目を閉じた。