3人で泣きじゃくったあの日、確かに翼咲は
きっと愛されてるって俺が言ったら泣いたのに……。






「つ、翼咲。ほら、お母さん懐かしいもの見つけてね、届けに来たのよ。……翼咲が喜ぶかと思って」





そう言って母親が持っていたバックから取り出したのは、黒い空手帯だった。






「……嫌がらせか?誰だよ、俺のこと捨てて空手も出来なくした張本人は!!



奪われて残念だったねとか言いに来たのか?殺してやろうか?」




その帯を奪い取り、翼咲は両手を使って、破いた。




伊瀬翼咲と名前が刻まれた帯は、真っ二つに引きちぎれ、床に音もなくこぼれ落ちた。









「翼咲!! ……いい加減にしろ」