「………無事で、良かった」




そして、俺はそのまま妖斗の胸ぐらから手を離し、痩せた身体をそっと抱きしめた。





「ごめっ、ごめっ、……ごめんなさい」






妖斗は、赤ん坊のように声を上げて泣き崩れた。









人生なんてやり直せない。





過去は戻りはしない。





それでも、もう一度、俺達が10年前と同じように仲良く笑って生きていくことだけはできる。





俺は、もう妖斗にそんなことは二度とさせないよ…………。