「暁斗、――妖斗が倒れた」





そう空我先生から聞いた時、どれだけ心臓が掻き乱されただろう。





どれだけ、怖いと思っただろう。





不安だった。……妖斗が、ついこの前の俺みたいになったらどうしようと思って。




車椅子に乗せてもらって、俺は妖斗の病室に連れてってもらった。







「はぁっ、……はぁ……はぁ」






空我先生に連れてこられた病室にいた妖斗は、呼吸が荒かった。




うなされて、汗をすごいかいている。








「妖斗………」



俺には、そんな弟の頭を撫でることしか出来ない。







「……暁斗」


背後にいた空我先生が、静かに俺の名を呼ぶ。




「知りたいか?……お前が眠っていた10年間、この弟はどうやって生きてきたか」





その言葉は、俺の心に深く突き刺さった。