ビルの10階にあったそのジュエリーというお店の入口前には、たくさんの花が飾ってあった。



「開けるぞ」





時刻は夜の10時をちょうど回っていた。





光にぃが、お店のドアを開けた。






「いらっしゃいま……あれー?妖斗じゃん!久しぶり!!」



着物を着た所謂お店のママの立ち位置の人が、俺と目が合った瞬間、確かにそう言った。






金色のフワフワな髪。



つけまの付いた、化粧の濃い顔。






……俺はこの人を知っている。




脳が確かにそう言っていた。



俺は頭を抱え、顔を俯かせた。




「はぁっ、はぁ……っ」


額から大量の冷や汗が噴き出し、

それが合図のように、続けて身体中が小刻みに震え始めた。



「おい、妖斗!……どうした?」



「……っ」



光にぃの言葉にすら、俺はろくに答えられなかった。



『ぎっ、ぎゃあああああっ!!!!』



手足を縛り付けられ、無理矢理身体を犯された自分の姿が、頭に流れてきた





この人は……っ。




「麗……羅……さん?」