『逃げ……ろ、妖斗っ!!』 家族の死に際は、 今でも夢に見る。 『ひぁ、あ……ひ……』 10年前のあの日、 兄さんは俺を庇って倒れた。 両親が目の前で殺されて、 『ママっ、パパあああっ!!! 嫌だあああ!!』 泣き出した俺に喰蝶は痺れを切らし、 俺を殺そうと刃物や鉄パイプを持って襲いかかってきた。 でも、咄嗟に俺の前に兄さんが立ちはだかった。 気が付いたら、 目の前にいた家族は全員意識不明だった。