「……人のことを信頼も出来ない奴を、お前は仲間だって認めんのかよ」



朔は冷徹な物言いで言った。





「朔、……俺は信頼って、しようって思いさえすれば、いつか出来るものだと今は思ってんだ。



俺は、朔乃ならそれができると思う」





「うわっ」


俺は朔乃の手首をつかみ、顔から離れさせた。



そして、そのまま腕を引っ張り、朔の顔を自分の胸に押し付けた。




「………朔乃、頼むから教えてくれ。お前はどうしたいんだよ」








「………出来ることなら、キャバクラにいる母親に会いたい。あんなんでも俺の親だから。働いてる店の名前すら知らないけど。






…………もっと友達が欲しい。




笑ってんの疲れた。




たまには泣きたい。




……いつも家に帰ると、寂しくて、寒い。




あったかいところに行きたい。




誰かに……抱きしめられたい。









白龍に……入りたいっ!!」






最後の言葉は、もはや悲鳴に近かった。





俺は一切の迷いもなく朔乃を抱きしめた。





「あぁ、入っていいよ。……一緒に帰ろう、翼にぃ達のいるあの家に」



俺の言葉に、朔は何も言わずに首だけを動かして精一杯頷いた。